誰もついてこないよな
芝居を見に行った。入場料が五千円近いのに、全自由席?それならそれなりのものを見せてくれるんだろうなあ。と劇場に入ったら、ちゃちい装置。ならば、衣装にお金をかけ、演技に唸るものが…。始まった。
既成の有名な戯曲を構成したもの。この作品にはチャンバラの必要性はほとんどないのに、チャンバラの場面がやたらに出て来る。チャンバラをやりたいために、作ったんじゃない?というのが第一印象。パンフレットに、黒澤明監督の「羅生門」をイメージして再構成した、とあった。「羅生門」は事件を当事者がそれぞれの立場から証言すると、真実がみな違ってくる。つまりは「薮の中」(芥川龍之介)というものなのだ。が、その構造がお客さんに伝わるようには書けていないから、場面をでたらめにつなぎ合わせているようにしか見えず、ドラマになっていない。
公演後、友人が
「お客さん、誰もついてこないよな」
はい、その通り。金返せの舞台でした。